日本各地の伝統工芸が、カメラを愛するあなたの時間をさらに豊かにする。
キヤノンならではの、こだわりのコレクションです。
※肥後象嵌ホットシューカバーは非売品です。銀座・大阪フォトハウスにて参考展示のみを行っています。
晴天か、曇天か。陽光か、月光か。
順光か、逆光か、もしくは斜光か。
被写体の捉え方ではない。江戸切子の味わい方である。
「江戸切子レンズグラス」は、眼で嗜む道具だ。
写真が光を収束するアートなら、江戸切子は光を発散するアートである。
伝統の技で刻まれた文様は、受ける光に応じて様々に表情を変え、
デスクに伸びるその影までも色づき、輝く。
そのとき、江戸切子は至高の眼福となる。
それは、光にこだわる写真家と江戸切子職人というの二つの感性の共鳴だ。
江戸切子の文様は、単なるグラスのデザインではない。高い集中力と技術によって施された一つ一つのカットは光の動線であり、そこを光が通ることでどのような表情となるかを、入出射角や屈折率までも考慮しながら刻まれる。江戸切子とは、まるで光の美しさをカタチにするためにグラスを用いた芸術であるかのようだ。「江戸切子」という名称を使うためには幾つかの条件が設定されているが、その一つに「職人の手作り」があるのも、江戸切子がそうした職人の感性に重きを置いているからといえる。今回お届けする「江戸切子レンズグラス」は、まさにその「煌めき」「伝統文様」「感性」が魅力の逸品である。
江戸切子は、下絵を描かない。大まかな直線を数本だけ引いて、それを目安に頭の中にある完成予想図を当てはめ、回転盤で溝を1本ずつ削っていく。「『シャッター音』や『光』といった、目に見えないからこそ大切にしたいものを表現することに努めた」と語るのは、今回の「江戸切子レンズグラス」を手がける若き伝統工芸士 山田のゆり氏。山田氏は、江戸切子職人の登竜門とされる「江戸切子新作展」でも入賞の常連。初受賞作「香り」に始まり、時間、愛など、目に見えないものを形にすることを得意とし、「形にしたらどう見えるだろうという思いで、イメージの視覚化を目指している」と語るその瞳は、作品と同じように輝きを放っていた。
若き才能による文様と色が、
伝統に新たな輝きを吹き込む。
今回「江戸切子レンズグラス」を手がけた山田氏は、ミツワ硝子工芸が擁する伝統工芸士の一人。幼稚園の時の夢はガラス屋さんになることだった。「堅いガラスを削る作業は力仕事だが、伝統を絶やさずに伝えていきたい。そういう環境に携われていることに対する感謝の気持ちを大事にしている。削る時は目だけでなく、耳も集中し、微妙な音の変化も聞きながらグラスと向き合っている」と語る山田氏の言葉には、仕事への情熱がこもる。
職人のこだわり、誕生秘話などのインタビューはこちらからご覧いただけます。
1971年(昭和46年)創業。多彩なカット技術、多様な硝子素材を手がける工房として知られ、それゆえ、加工に必要なダイヤモンドホイールなどの道具も、幅広い種類を揃えている。製作依頼に応える道具がなければ、その道具を自ら開発することも厭わない、まさに進取の気性に富む工房だ。工房で手を動かす職人は11名。20代、30代の若い職人で構成されているのも珍しい。工房オリジナルの江戸切子は「硝子工房 彩鳳(さいほう)」の名の下、毎年新作を世に送り出している。
1956 年(昭和31 年)創業。「江戸切子レンズグラス」では硝子素材にもこだわり伝統工芸の“江戸硝子”を使用している。その江戸硝子製造で高い品質を誇るのが田島硝子だ。江戸切子は美しい色被(いろきせ)を特長としているが、層が薄いほど濃い色の再現が難しい。田島硝子は約1年に渡る試行錯誤の末、江戸切子のための「黒」を誕生させた。光に透かしても灰色にならない漆黒を実現した被せガラス生地は、江戸切子の世界観、表現の可能性を大きく拡げた。田島硝子は、硝子製造にとどまらず、優れた切子職人も擁し、江戸硝子、江戸切子の業界を力強く牽引している。
手づくり硝子ゆえサイズや容量など、ひとつずつ僅かな個体差が生じてしまいます。また、小さな気泡などがある場合もございます。手づくり硝子の温もり、特性としてご理解ご了承くださいますようお願い致します。生産数に限りがございますので、ご注文頂けない場合がございます。ご注文頂けない場合には、次回生産分の販売をお待ちください。
『江戸切子レンズグラス』は、キヤノンマーケティングジャパン監修のもと、
ミツワ硝子工芸と株式会社アルヴォリが共同で開発した製品です。
※江戸切子は江戸切子協同組合の登録商標です。