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個人事業主の社会保険はどうなる?個人事業の保険・年金制度

個人事業主の社会保険 個人事業主の方が加入義務のある保険・年金制度は、「国民健康保険」と「国民年金」です。
会社員の方のように、厚生年金に加入したり、退職金制度を利用したりできるわけではないので、国民年金基金や民間保険、共済制度などをうまく活用することをおすすめします。
そこで今回は、個人事業主の方が加入義務のある保険・年金制度や、知っておきたい国民年金基金や共済などについてご紹介します。

個人事業主が加入義務のある保険・年金制度は?

個人事業主が加入義務のある保険・年金制度 個人事業主の方は国民健康保険と国民年金に加入して、毎月の保険料を納める義務があります。
一般的な会社員の方は、被用者保険と厚生年金に加入していますが、会社を退職した場合は翌日から資格は喪失します。
そのため会社を退職したら、国民健康保険と国民年金への加入手続きを自分で行う必要があります。

なお、加入手続きは、退職日の翌日から14日以内に行うことになっているため、忘れずに行いましょう。

老後が不安な方は「国民年金基金」への加入を検討しよう

「国民年金基金」への加入を検討 会社員の方は、国民年金に加えて厚生年金にも加入できます。そのため、毎月支払う保険料は割高になりますが、その分年金の受給額は多くなります。
一方、個人事業主の方は、厚生年金に加入できないため国民年金のみの加入となります。そのため、個人事業主の方は、会社員に比べると、将来受給される年金額が少なくなってしまいます。

国民年金だけでは将来の生活が不安な方は、国民年金基金への加入も検討しましょう。
国民年金基金とは個人事業主などの国民年金の第1号被保険者が加入できる年金制度で、保険料を上乗せして支払うことで将来受け取れる年金の受給額を増やすことが可能です。平成29年度末に、374,664名の方が国民年金基金に加入していることが分かっています。
なお国民年金基金の毎月の掛金は自由に決めることができ、掛金は所得控除の対象となります。また、加入者本人が亡くなってしまった場合、死亡時までの掛金納付期間に応じた一時金が遺族に支給されます。

民間保険や共済で病気やけがに備える

会社員は被用者保険に加入しているため、病気やけがで働くことが難しくなった場合、国から傷病手当が支給されます。一方、個人事業主の方が加入する国民健康保険は、傷病手当は支給されません。
そこで、病気やけがなどで仕事ができなくなってしまう事態を想定して、民間保険や共済について知っておくことをおすすめします。
民間保険とは民間企業による保障制度です。また共済は、共済組合に加入し、組合員同士で相互に助け合う保障制度となります。いずれも掛金を支払うことで、病気やけがなどで仕事ができなくなった場合に、保障額を受け取ることができます。

廃業や連鎖倒産のリスク対策も忘れずに

個人事業主として仕事をする場合、廃業や連鎖倒産の可能性はゼロではありません。なお連鎖倒産とは、取引先が倒産することで売掛金が回収できなくなり、その結果経営が不安定になり連鎖して倒産してしまうことです。
廃業や連鎖倒産のリスクから個人事業主を守ってくれる共済が、「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が運営する「小規模企業共済」と「経営セーフティ共済」です。

小規模企業共済

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者の方や個人事業主の方が、将来事業を辞めた際に受け取ることができる一時金を積み立てておくための共済です。会社員の退職金制度の代わりとしてイメージすると分かりやすいでしょう。
毎月の掛金は、1,000円から7万円まで(500円単位)の範囲で選択することができ、掛金は所得控除の対象となります。

経営セーフティ共済

経営セーフティ共済は、「連鎖倒産」を防ぐために設けられた共済制度です。経営セーフティ共済に加入することで、取引先の倒産時には上限8,000万円の貸付を無担保・無利子・無保証で受けられます。
経営セーフティ共済では、毎月5,000円から20万円(5,000円単位)の範囲で掛金を支払い、800万円まで積み立てることが可能です。なお掛金は事業の必要経費として計上できる他、解約時には加入期間に応じて支払った掛金の一部または全額が払い戻しされます。

ポイント

  • 個人事業主の方は国民健康保険と国民年金の加入が必須
  • 国民健康保険と国民年金の加入手続きは、会社を退職してから14日以内に行う
  • 国民年金基金に加入することで将来受給できる年金額を増やすことができる
  • 民間保険や共済に加入しておくことで、万が一の事態に生活を保障してもらえる
  • 廃業や連鎖倒産のリスクは、小規模企業共済や経営セーフティ共済に加入して備える
個人事業主として新規開業を目指している方へ

個人事業主として新規開業する際の、開業前準備について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
新規開業の流れは?開業前の資金準備や開業届と法人登記の違い

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