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カメラを愛するあなたに至福の一杯を。江戸切子レンズグラス誕生秘話をご紹介!
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カメラを愛するあなたに至福の一杯を。江戸切子レンズグラス誕生秘話をご紹介!

公開日:2020/12/2 / 最終更新日:2022/7/5

カメラをテーマにした伝統工芸品をキヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)がデザイン監修するシリーズ。
東京くみひもカメラストラップ(2019年発売)に続き、第2弾として「江戸切子レンズグラス」が誕生いたしました。

今回は、江戸切子レンズグラスの共同開発者であるミツワ硝子工芸の伝統工芸士・山田氏と、伝統技術を生かしたユニークな商品を開発しているアルヴォリの萩島氏のお二人に商品開発の経緯や商品に込めた思いについて、お話を伺いました。

伝統工芸士 山田のゆり氏(左)、アルヴォリ 萩島貴氏(右)

キヤノンMJ担当者からお二人への質問形式のはずでしたが、想像を超えるグラスの出来栄えに萩島氏も山田氏への質問が
止まらなくなるという事態に。笑いと驚きの絶えない対談となりましたので、是非、最後までご覧ください!

※ 本記事でご紹介している商品は、現在販売終了しております。(2024年1月時点)


質感を硝子に凝縮!?レンズグラス誕生の裏側

キヤノンMJ担当者

伝統工芸士の方と様々な商品を共同開発されている萩島さんとは、シリーズ第1弾の東京くみひもカメラストラップで初めて監修という立場で一緒に商品づくりに携わらせていただきましたが、今回はなぜ江戸切子だったのでしょうか?


萩島氏

江戸切子は元々好きで、グラスのように日常的に使えるものという点でも興味がありました。ただ、江戸切子は伝統工芸の中でもメジャーなものだけに、差別化する難しさを感じていました。その中で、カメラというテーマと素晴らしい職人さんがコラボしたらどうなるのだろうという楽しみがあり、今回挑戦させていただきました。


キヤノンMJ担当者

伝統工芸士の山田さんと組まれたのはなぜですか?


萩島氏

新しさを求めたかったので、若い世代で尖っている方と一緒に商品を作りたいと考えていました。職人さんを探していく中で、
新しいことに挑戦しているミツワ硝子工芸の山田のゆりさんの記事を見つけて声をかけさせていただきました。

キヤノンMJ担当者

その後、商品開発のためにカメラ機材を貸して欲しいという連絡を私がいただいたわけですね。実際にお貸ししたのは
EOS 5D Mark IV とEF24-105mm F4L IS II USMでしたが、山田さんはどんな気持ちでカメラを受け取られたのでしょうか?


山田氏

カメラってどうやって使うんだろうかとか、色々想像して、どうやってお客さまはカメラと向き合っているのかというのをネットで調べたりしながら、カメラユーザーの気持ちを理解しようとすることから始めました。グラスのユーザーというより、カメラユーザーの視点に立つことを意識しました。


キヤノンMJ担当者

萩島さんは、今回のカメラをテーマにした江戸切子の製作について、山田さんにどのようなことを期待されましたか?


萩島氏

職人さんの技術と感性を頼りに、このようなテーマをどうやって職人さんが表現するか、自分の想像を越えるような新たな表現が生まれることを期待していました。特に硝子でグリップを表現されたことには驚きました。目をつぶるとカメラがあるような感覚になります。

山田氏

多くのデザインがやりつくされている江戸切子の歴史の中で、新しく見える感じをいかに表現するか。「江戸切子レンズグラス
槌目(つちめ)」では槌目文様という伝統文様を使ってデコボコしたグリップっぽいデザインに挑戦しました。色々良い経験をさせてもらったと思っています。試作用の生地がもう少しあったら良かったかなと。緊張しました。(笑)


萩島氏

それは申し訳ありませんでした。(笑)そういった中で、キヤノンマーケティングジャパンさんが試作品を見て驚いてくれたことが
嬉しかったですし、これからお手に取っていただくお客さまにも喜んでいいただけると幸いです。

置いてあるだけで明るく。伝統文様に込める思い。

キヤノンMJ担当者

何をお客さまに伝えたいと思って今回のレンズグラスを作られたのですか?


山田氏

やはり使っていただく方の気持ちが豊かになることだと思います。100円ショップでもグラスは手に入りますが、江戸切子ならではの伝統文様、伝統技法を用いた上質な切子というのは、日常生活に置いてあるだけでも明るい気持ちにさせてくれるものです。
日常に華を添える存在として、カメラがお好きな方にも江戸切子のマイグラスを持って欲しいと思っています。


キヤノンMJ担当者

上下左右どこから見ても本当に面白いですよね。


山田氏

両親が、ワイングラスを食器棚に飾っていて、お祝いの時に出して乾杯していましたが、そういう形でお客さまに使って貰えたら嬉しいし、もちろん、日常使いにしてもらえたらとも。


キヤノンMJ担当者

今回は物理的な質感だけでなく、「光」や「シャッター音」も表現されたことに驚きました。


山田氏

ものを扱う仕事なので「ものを大切にする」ということを意識しています。目に見えなくても、大切なもの。目に見えないから
こそ忘れたくないもの。生きていくうえで大切なもの。カメラを使用する方も、カメラを大切にされていますし、目に見えない、
一瞬のパシャという「シャッター音」やそのときに取り込む「光」も形にしようと思いました。

萩島氏

私からも質問してもよろしいでしょうか・・?グラスの底面にも絞りやレンズを上からのぞき込んだようなデザインの工夫があってとても楽しいですよね。側面の文様についても教えていただけますか?


山田氏

いかに文様に意味を込められるかが大事だと感じ、取り組みました。難しさとしては、見る人によってはこじつけと思われてしまうかもしれませんが、この世の中の形あるものは、どこかしら繋がりがあると思っています。実際にカメラを貸してもらったことで色々な文様がカメラと繋がっているなと。レンズそのものを表現した十草(とくさ)文様は、もともと日本家屋の生け垣によく生えている植物です。まっすぐで、所々黒い節のあるのが特長で、一年中、花も葉も出ない、一風変わった草です。「金を磨くときに十草の葉で磨くと光沢が増す」と言われていることから、金を呼ぶ縁起が良い絵柄です。


槌目文様は、銅板などに槌でトントン叩いて作る文様ですが、これをグリップに見立ててカットで表現することに挑戦しました。笹星では目に見えないものを表現しており、光やシャッター音には星文様と笹っ葉文様など伝統文様を使っています。
そして、モードダイヤルのギザギザした質感は切子によくある魚子(ななこ)文様と似ていますが魚の鱗を思わせる細かいカットが
特長です。この文様はイギリスではストロベリーカットとも言います。江戸時代から親しまれてきた伝統文様であり、実は「ナナコ」という読み方の語呂合わせで、毎年7月5日が「江戸切子の日」になりました。



江戸切子の魅力とは

萩島氏

山田さんだからこそ知っている江戸切子の魅力を教えて下さい。


山田氏

江戸切子は硝子が、カッティングを施すことによって光を吸収し屈折して、まるで宝石のような輝きを放つことが魅力です。上げ底という江戸切子ならではの技法も魅力です。接地面を浮かすためにカッティングを入れることで何十年使っても底面が傷つきにくくなります。長年使っていただける実用性の良さがあります。


萩島氏

江戸切子の道に入ったきっかけはなんですか?


山田氏

幼稚園の時の夢が硝子屋さんになりたいという夢でした。硝子の専門学校の授業で、硝子製造方法、歴史、カットガラスの技法を学びました。硝子は何もしなくても綺麗ですが、表面に施す装飾技法によって、その魅力をさらに引き出す技法が江戸切子であると気付きました。削る作業は、多ければ50工程ほどありますが、日数も時間もかけて行う奥深さにも面白さを感じています。


萩島氏

私はデスクワークで肩が凝ってしまうのですが、座っての長時間作業は大変ではありませんか?


山田氏

肩は凝らないですね。私にとってはカッティングすることは、空気を吸うのと同じ感覚かも。(笑)


萩島氏

ええ!?(笑)

山田氏

確かに江戸切子は力仕事です。削るにも力がいります。コツを掴むことも重要ですが、道具を切れる状態にしたうえで、作業することが大切です。そして、ミツワ硝子ではホイールが角まで当たっているかなど音を聞きながら作業をすることを大事にしています。


キヤノンMJ担当者

江戸切子は五感をすべてを使って作られるのですね。細かい線を、手作業でいくつも同じように施すことができるのが凄いです。


萩島氏

そうですよね。「十草」のレンズの線の本数なども毎回同じに?


山田氏

「十草」は再現できます。「槌目」は、柄の特性上、毎回変わってしまいますが。


キヤノンMJ担当者

お好きな色はありますか?


山田氏

瑠璃色(青)は爽やかで暑い時も涼しげなので好きです。あとは黒も。江戸切子は赤や青が一般的ですが、黒のモダンな見え方、日常に溶け込む感じが良いなと思っています。黒の場合はカットを入れた透明な部分から、飲み物が見えた時のコントラストが綺麗です。


キヤノンMJ担当者

黒のグラスに関しては苦労された点もあったとお伺いしておりますが。

山田氏

黒色の生地は硬く、色の厚みもあります。最初は手磨きを試みましたが、ダイヤモンドホイールが変形してしまうほどの硬さで。他の色であれば、通常は割り出し機を使って等間隔に線を引き、内側から光で透かしながら見て削ることができますが、黒はまったく見えません。そのため最初に上部分のリングを削ってから、割り出し機で線を引いて、削ります。細かい線は一本置きに線を引いて削っていきました。難しさはありましたが、「十草」は一番最初に製作したもので、シンプルに美しくレンズらしさを表現できたかなと。


萩島氏

最後に山田さんでしたら、このグラスをどう使いますか?


山田氏

ビール、ワインが好きなので、そういう飲み物を入れて飲んでみたい。夏はサイダーとか、氷を入れて飲んでみたい。小さいサイズの方は小鉢とかにも使ってみたり、日本食、お刺身とかも合いそうかなと。小皿のような用途としても楽しんでもらえると思います。


キヤノンMJ担当者

山田さん、萩島さん、インタビューありがとうございます。そして、素敵な江戸切子レンズグラスを製作していただき本当にありがとうございました。





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