写真家の中西祐介です。スポーツやアスリートのポートレート、人物撮影を中心に活動しています。トータルバランスに優れた「 EOS R5 」は、高性能な顔認識・瞳AFやボディー内手ブレ補正の搭載、最高秒間20コマの連写性能など、高いレベルで満足させてくれるミラーレスカメラです。今回は、スポーツ撮影で実際に使用したEOS R5のレビューと、特におすすめしたいアクセサリーをご紹介します。
公開日:2020/7/30 / 最終更新日:2022/7/22
写真家の中西祐介です。スポーツやアスリートのポートレート、人物撮影を中心に活動しています。トータルバランスに優れた「 EOS R5 」は、高性能な顔認識・瞳AFやボディー内手ブレ補正の搭載、最高秒間20コマの連写性能など、高いレベルで満足させてくれるミラーレスカメラです。今回は、スポーツ撮影で実際に使用したEOS R5のレビューと、特におすすめしたいアクセサリーをご紹介します。
【写真家紹介】
中西祐介(なかにし・ゆうすけ)
1979年、東京都生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。講談社写真部、フォトエージェンシーのアフロスポーツを経て、2018年よりフリーランスフォトグラファー。スポーツ、人物を中心に撮影。ライフワークは、馬術をテーマにした「馬と人」の撮影。
中西 祐介氏ホームページへ
カメラとしての基本性能の高さだけではなく、スペックには現れないグリップを握ったときの感触や、シャッターを切る感覚も優れたEOS R5。フィールドに持ち出してみると驚きの進化を体感できました。
◎アスリートの素早い動きにも追従する「瞳AF」
まず気に入ったのは、瞳AF(AF被写体検出)です。「瞳AFはポートレート撮影で使う機能」というイメージを持っていて、スポーツのような激しく動く被写体で使うことはない……と思っていました。ところがEOS R5の実力は、想像を大きく超えていました。
人が激しく、素早く動くスポーツで使用しても、しっかりと顔や瞳を認識して追い続けます。上下左右の俊敏な動きにも対応し、かなりの高確率でフォーカスしてくれる。広いフォーカスエリアを使いながら、ピントはカメラに任せて、フレーミングや選手の動きに集中してシャッターを切ることができます。これまでの撮影スタイルを大きく変えてしまう「事件」だと感じました。本当にスゴイの一言。
◎表現の幅が広がる予感。「ボディー内手ブレ補正機構」
キヤノンのカメラで初搭載となるボディー内手ブレ補正機能は、スポーツ撮影を助けてくれるうれしい機能です。高速シャッターでも防げない手ブレ対策として効果的。暗いシーンのポートレートにもいいですね。
IS(手ブレ補正機構)がないレンズはもちろんのこと、IS付きRFレンズを使えば、ボディーとレンズの手ブレ補正が協調して、さらに大きな手ブレ補正効果が期待できます。ボディー単体で5段分、レンズとの協調で最大8段分というのですから強力です。
三脚や一脚で手ブレを防ぐような場面でも、EOS R5の機動力を生かした手持ち撮影にチャレンジできそう。対応できる撮影の幅だけでなく、表現の幅も大きく広がるでしょう。
◎超望遠ズームレンズ「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」
EOS R5とともに正式発表された超望遠ズームRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMの印象も語りましょう。このズーム域に近いレンズにEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMがあります。スポーツ撮影の定番レンズですが、テレ側400mmと500mmの違いは本当に大きい。400mmでは足りない、もう少しだけ寄りたいシーンは結構ある。特に撮影場所の制約があるスポーツ取材では、500mmまであると撮れるものが格段に増えます。
テレ側400mm以上の望遠ズームだと、さすがに一脚が必需品でした。でも、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは小型・軽量。ボディー内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正を信じて、手持ちで超望遠が使える。手持ち撮影だからこそ生きるレンズです。
RFレンズならではの高画質、ズームリングなどの操作性も良好。繰り出し型のレンズですが、重量バランスがよく持ちやすい。長時間に及ぶ撮影でも集中力を切らさず撮れるでしょう。
ここからは、EOS R5とベストマッチのアクセサリーを紹介しましょう。私がこれまで経験してきたことを踏まえて、必要なものを選びました。撮影環境をより快適にしてくれるはずです。まずはスポーツ撮影に欠かせない一脚から。
いくらカメラとレンズの手ブレ補正機構が強化されて手持ち撮影の機会が増えても、カメラバッグの中には必ず一脚を常備します。私のお気に入りは、SIRUI(シルイ)の「P-306」。フレーミングを安定させたいときや、長時間カメラを構えなくてはならない場面で必要なアイテムです。伸ばせば154cmの長さに、持ち運び時は38cmになる携帯性が高い一脚です。
機材運搬で大事になるのがカメラバッグ。重量を両肩に分散できて両手が自由になるバックパックを愛用しています。
シンクタンクフォトの「シェイプシフター 17 V2.0」は、特にスポーツ写真家たちの評価が高いバッグ。サイドにマチが付いていて、収納するボリュームによって厚みを変えることができます。内部には仕切りの代わりにポケットが装備されていて整理が容易。カメラやレンズ収納部以外にも細かいポケットやパソコン収納スペースもあり便利です。
EOS R5はカードスロットがダブルスロットになりました。その一つがCFexpressに対応しています。EOS R5は4500万画素と高画素なので、書き込みが高速なカードが必須。ここを疎かにしてしまうとカメラの性能をフルに発揮できないこともあり得ます。
私のおすすめは、サンディスク「CFexpress Type B カード エクストリーム プロ」
EOS R5は、ジャンルを問わず多くの人が待ち望んでいたカメラです。私もその一人。紹介しきれなかった機能がたくさんありますが、トータルバランス優秀な、もっと使いたくなるカメラです。どこから見てもスキがない。スポーツ撮影の主力機の一つとして使いたいですね。
写真でしか伝えられないアスリートたちの世界を映像化して、より多くの方々にお見せできる日を楽しみにしています。
撮影協力:日本大学馬術部・弓道部・自転車部、立教新座高等学校バスケットボール部
「スポーツ撮影では機動力を活かしたい時がとても多くなります。そんな時に悩ましいのはバッグです。長時間の撮影でも体に負担が少なく動きやすいスリングタイプを使っています。 レンズの出し入れがしやすく、ポケットも使い勝手が良くて外観の強度もあるので撮影中のストレスが大きく軽減されます。 」