風景写真家の工藤智道です。話題のフルサイズミラーレスカメラEOS R5。ねらった光景をしっかり撮るために、さまざまなアクセサリーとともにEOS R5のポテンシャルを十分に引き出したいですね。今回は、EOS R5のレビューと、おすすめしたいアクセサリーについて語っていきましょう。
公開日:2020/8/6 / 最終更新日:2022/7/22
風景写真家の工藤智道です。話題のフルサイズミラーレスカメラEOS R5。ねらった光景をしっかり撮るために、さまざまなアクセサリーとともにEOS R5のポテンシャルを十分に引き出したいですね。今回は、EOS R5のレビューと、おすすめしたいアクセサリーについて語っていきましょう。
【写真家紹介】
工藤智道(くどう・ともみち)
1969年、神奈川県横浜市生まれ。 日本写真芸術専門学校を卒業後、風景写真家の竹内敏信氏に師事。4年間のアシスタントを経て独立。日本の各地の自然風景を撮り、自然が見せる一期一会の瞬間を撮る。写真専門誌、パソコン誌、デジタルカメラ専門誌などで撮影・執筆するなど活躍中。日本写真家協会会員。
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EOS R5が高画素・高性能であることはスペックを見ても明らか。では、どれほど目の前の風景を美しく写真に焼き付けることができるカメラなのでしょうか。大きな期待を胸に抱きつつ風景に向き合いました。
◎「5D」シリーズの流れをくむ快適な操作性
「風景写真は動きのない被写体」だと思われがちですが、光や風などによって目の前の風景は刻々と変化します。常に状況が変化する風景ではカメラの操作性が良くないと、一瞬のチャンスを逃してしまうこともあります。歴代のEOS 5Dシリーズから受け継がれた操作系のEOS R5では、違和感なく撮影できました。
EOS R5が快適に使えるのは、EOSの象徴とも言えるサブ電子ダイヤルの復活です。メイン電子ダイヤルとの併用で、とっさに訪れたシャッターチャンスでもシャッター速度、絞り、露出補正などの操作設定が直感的に行えます。やはり快適。
風景撮影をするにはストレスなく撮影に集中できることが重要です。サブ電子ダイヤルやマルチコントローラーといった5Dシリーズの操作系を引き継ぎ登場したEOS R5は、もはや風景撮影では欠かすことのできないカメラです。
◎撮影を大いに助けてくれる「ボディー内手ブレ補正機構」と「瞳AF」
表情を変えていく雲、早朝や夕景の光、風に揺れる木々の葉……。風景撮影の被写体となるのは繊細な自然です。風景撮影では被写体のディテールまで緻密に写しとることが重要で、滑らかな描写性能を求めます。このためISO感度設定は多くの場合、低感度のISO100を選択することが多く、絞りを絞り込むことも多いため、シャッター速度は遅くなりがちです。
そこで助かるのがEOS R5のボディー内手ブレ補正機構。レンズ内の手ブレ補正機構(IS)の協調で、最大8段分の手ブレ補正効果が得られます。これまで手ブレが避けられなかったシーンでも、手持ち撮影で撮影できる範囲が広がるでしょう。
私の撮影スタイルでは、風景の一部として動物や野鳥を撮影することがあります。人間だけでなく動物や野鳥の顔も認識してピントを合わせてくれる瞳AFが、風景写真家にとって慣れていない動物撮影でも大きな手助けになりました。
◎風景を余すことなく写しとれる「RF15-35mm F2.8 L IS USM」
風景撮影ではいつ、どのような風景に出合うかわかりません。そのため広角から望遠までさまざまなレンズを持ち歩きます。空間の広がりがある風景を撮影するときは、やはり広角ズームレンズが活躍してくれます。
強烈な遠近感を作り出す広角側15mmからナチュラルな描写の35mmまでをカバーするRF15-35mm F2.8 L IS USMは、描写性に優れた広角ズームレンズとして推奨したい一本。風景撮影で大活躍するレンズです。Rシリーズに装着して撮影すれば、自動的にデジタルレンズオプティマイザが適用され、レンズの収差などを補正し、素晴らしい描写の作品にしてくれます。
EOS R5と相性のいい、おすすめのアクセサリーを紹介しましょう。
風景撮影では多くの場合、三脚を使って撮影します。時には数十秒間の長秒時撮影によって肉眼では見られない風景の表情をねらうこともあり、三脚は必需品。ブレのないシャープな写真を撮るにはしっかりとした剛性の高い三脚が必要です。
野山を歩くために軽量であることも重要。ガッチリしているけれどコンパクトで軽量という難しい条件を満足させてくれる三脚は、そう多くはありません。
私が愛用しているのは、Leofotoの三脚「LS-324C」に自由雲台「LH-40」を組み合わせたもの。センターポールのないタイプの三脚ですが、軽量かつスリムで持ち歩きやすく、剛性も高いのでガッチリとカメラを支えてくれます。価格も手頃で使い勝手がよくコストパフォーマンスも高い三脚です。
朝日や夕日などの空と地上の風景を一枚の写真に収めたい場合、地上と空の明るさの差が大きいため、露出設定が非常に難しくなります。こういったシーンでは「ハーフND」といわれるフィルターが便利。明るすぎる空と暗すぎる地上の輝度差を抑えることで、両方をイメージどおりに描写できるようになります。
私が愛用しているのは「KANIフィルター」。フィルターホルダーにさまざまなフィルターをセットして使います。濃度の異なるNDフィルターや、PLフィルターがラインアップされています。種類豊富で手入れもしやすく、フィルターワークを楽しむならおすすめの角形フィルターです。通常の丸型のPLフィルターと合わせ条件によって使い分けています。
アクセサリー類も使い勝手のいいものでないと、撮影の集中力を削がれてしまう。ここで紹介したアクセサリー類は、ストレスなく作品づくりの大きな手助けとなるでしょう。
風景撮影ではPLフィルターは必須アイテム。写真全体の色彩コントラストを高めることで、被写体本来の色を引き出し、鮮やかで美しい写真にすることができます。
雨の日や雪の日などの天候でも撮影することが多いので、水滴などが拭き取りやすい撥水コーティングが施されたものが安心です。広角ズームレンズを使うことから、フィルター枠はケラレの心配がない薄型のフィルター枠のものをチョイスします。
さまざまなメーカーからPLフィルターが発売されていますが、これらの条件を満たすケンコーの「ZX(ゼクロス)」を愛用しています。4K、8K対応のPLフィルターなので、EOS R5とのマッチングも良好です。
EOS R5のクリアで見やすい液晶ビューファインダーは、撮影の仕上がり(ファイナルイメージ)をそのままを見ることができ、攻めの撮影が可能となります。機材を担いで歩くことの多い風景撮影では、軽量コンパクトなボディーがうれしい。これまで断念することもあったフィールドのより奥へと行くこともできます。もはやEOS R5は、私にとって欠かせない一台となりそうです。
「風景撮影のマストアイテムの三脚。数ある三脚の中でも高い機能と剛性のあるLeofotoの三脚がおすすめ。 価格も手頃で軽く使いやすいです。今回チョイスしたのはLS-324C。いちばん太いパイプが32mm径でしっかりしている4段の三脚です。雲台は自由雲台のLH-40をセレクト。携帯性がよく十分な高さを確保できます。 重量は約1,930gと2kgを切る軽量三脚です。 」