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これから開業を考えている人へ 必要な「届出」をご存知ですか?

開業するために必要な届出 個人事業主として事業を始める場合、各行政機関へ「届出」を行います。届出とは、事業の開始や従業員の雇用などを事前に各行政機関へ通知することです。
届出先は、税務署や都道府県税事務所など届出の種類により異なります。また届出には、税金に関わるものと、従業員の雇用に関わるものの2種類があります。
今回は、個人事業主として開業するために必要な届出についてご紹介します。

新規開業時に必須の届出

新規開業時に必須の届出 新規開業時は、2つの届出を提出することになります。
ここでは、新規開業時に必須の届出についてご紹介します。

個人事業の開業・廃業等届出書

「個人事業の開業・廃業等届出書」とは事業により所得を得ていることを通知する届出で、所得税や消費税などの国税を徴収するデータとなります。
一般的には「開業届」と呼ばれており、事業開始日から1カ月以内に納税地を所轄する税務署へ提出します。

事業開始等申告書

「事業開始等申告書」も開業を通知する届出で、事業税や住民税などの地方税を徴収するデータとなります。事務所の所在地を管轄する都道府県税事務所および市区町村役場に、事業開始日から15日以内に提出します。

開業届の提出を考えている方へ

開業届の書き方や税務署へ提出するタイミングについて詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
開業届の書き方や税務署に提出するタイミングは?

新規開業時に青色申告を選択する場合の届出

確定申告を青色申告で行う場合は、「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。また、家族を青色事業専従者とする届出を行うことで、家族に支払う給与を経費にすることが可能です。
ここでは、新規開業時に青色申告を選択する場合の届出についてご紹介します。

所得税の青色申告承認申請書

「所得税の青色申告承認申請書」は、確定申告を青色申告で行う場合に提出する届出です。
確定申告には青色申告と白色申告がありますが、青色申告を選択した場合は税制面でさまざまな優遇措置が受けられます。
提出期限は、青色申告の承認を受けようとする年の3月15日(その年の1月16日以降に事業を開始した場合は開業日から2カ月以内)です。

青色事業専従者給与に関する届出書

「青色事業専従者給与に関する届出書」は、青色申告を選択した事業主が、家族や親族へ支払う給与を全額経費にできる届出です。
提出期限は、1月15日までに開業した場合は、開業した年の3月15日までとなります。また1月16日以降に開業した場合は、開業日から2カ月以内の届出が必要です。

新規開業時に従業員を雇用する場合の届出

従業員を雇用する場合の届出 新規開業時に従業員を雇用することが決まっている場合は、従業員の所得税や保険に関する届出を行う必要があります。
ここでは、新規開業時に従業員を採用する場合の届出についてご紹介します。

給与支払事務所等の開設届出書

従業員を雇用する場合、事業主が従業員の所得税を代行して納付することになります。その場合は1カ月以内に、納税地を所轄する税務署へ「給与支払事務所等の開設届出書」を提出し、給与支払事務所になったことを通知する必要があります。

労働保険関係成立届/労働保険概算保険料申告書

1人でも従業員を雇用した場合、事業主は労働保険へ加入する義務があります。労働保険に加入することで、従業員は仕事中に怪我をしてしまった場合、国から給付金を受け取ることができます。
労働保険への加入は、労働基準監督署に「労働保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」を提出することで行われます。提出期限は、労働保険関係成立届は従業員を雇用した日の翌日から10日以内で、労働保険概算保険料申告は従業員を雇用した日の翌日から50日以内です。

雇用保険適用事業所設置届/雇用保険被保険者資格取得届

31日以上の長期雇用で、1週間の労働時間が20時間以上の従業員を雇用した場合、事業主は雇用保険へ加入する義務があります。雇用保険に入ることで、従業員は失業したり病気により休業したりしてしまった場合、国から手当金を受け取ることができます。
雇用保険への加入は、公共職業安定所に「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出することで行われます。提出期限は、雇用保険適用事業所設置届は従業員を雇用した日の翌日から10日以内、雇用保険被保険者資格取得届は従業員を雇用した翌月10日までです。

ポイント

  • 新規開業時は「個人事業の開業・廃業等届出書」と「事業開始等申告書」の提出が必須
  • 青色申告を選択する場合は「所得税の青色申告承認申請書」を提出する
  • 一緒に働く家族を青色事業専従者にすることで、家族に支払う給与を経費にできる
  • 新規開業時に従業員を雇用する場合は従業員の所得や保険に関する届出が必要
個人事業主として新規開業を目指している方へ

個人事業主として新規開業する際の、開業前準備について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
新規開業の流れは?開業前の資金準備や開業届と法人登記の違い

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