「屋号」と似たような言葉に「商号」がありますが、これら2つには違いがあります。
ここでは、屋号と商号の違いが分かるように、それぞれの特徴についてご説明します。
屋号とは、個人事業主が事業で使用する名称です。例えば、お店を始める場合は店舗名が、事務所を開設する場合は事務所名が屋号にあたります。
なお個人事業主の場合、「屋号+事業主の氏名」を名義にして、銀行口座を開設することが可能です。
商号とは、事業を法人登記する際に必要となる会社名です。個人事業主の方は、開業する際に法人登記を行わないため、「商号」を考える必要はありません。なお個人事業を法人化する際、個人事業で使用していた屋号を商号として登記できます。ただし商号を登記する際は、文字や記号の表記など会社法で定められた条件を満たす必要があります。
なお商号は、その名称が商標登録されていないかを、特許庁の商標検索サービスより検索することが可能です。
屋号は、事業を続ける限り末永く付き合うことになる名称です。そのため、人の名前を考えるのと同じくらい重要なことといえます。
ここでは個人事業主が、屋号を考える際に意識したほうが良い、ネーミングにおける3つのポイントについてご紹介します。
後悔のない屋号を慎重に考えましょう。
個人事業主の方の中には、屋号を用意せずに個人名で活動されている方がいます。カメラマンやデザイナーなどフリーランスで活動する場合、屋号はそこまで重要ではありませんが、店舗や事務所が必要な業種では屋号を用意しておくことをおすすめします。
なお屋号を考える際は、事業内容が分かるようにネーミングすることがポイントです。例えば、「カフェ〇〇」「ヘアサロン〇〇」「〇〇デザインオフィス」のように、屋号の一部に事業内容を記載することで、相手に事業内容が伝わりやすくなります。 また路面店の場合は、屋号は店名となるため集客にも影響することを知っておきましょう。
屋号は、顧客に信頼感を与えるためにも重要です。あまりに奇抜な名称にしてしまうと、受け手の印象が悪くなってしまう恐れがあるため、多少控えめにすることをおすすめします。
屋号は、覚えやすいものにしましょう。事業主の思いが強く、屋号ですべてを伝えようとした結果、長くなってしまうことがあります。屋号を聞いた方が一瞬で覚えられるように、簡潔にまとめることを意識しましょう。
屋号を作る際は、上記でお伝えしたポイントに加えて、いくつか守らなければならないルールがあります。
以下では、屋号を作る際のルールについて、代表的なものを3つご紹介します。これらのルールは法律で禁止されているため、十分注意しましょう。
個人事業の場合、屋号に「株式会社」を付けられません。法人と誤認させるような屋号は避けましょう。
「〇〇銀行」や「〇〇証券」のように、実際の事業とは異なる特定の業種を想像させるような屋号は付けられません。
有名ブランドや企業の商号と酷似したものを、屋号として付けることはできません。
個人事業主として新規開業する際の、開業前準備について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
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